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彦崎駅前【彦崎絶景百選036】 [彦崎絶景百選登録済み]

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駅前ということで
マキチャンコラボ023」添付

【おのれ!残念又四郎】=============================

その日、4年生児童は、男女とも皆、燃え上がるような目をしていた。数日後は“お楽しみ会“が開催される。女子は、馬糞紙と呼ばれる、粗悪な黄土色の厚紙を使って、江戸時代の街道筋にある、旅人が利用する茶店のような、休憩小屋を絵の具で描いている。そして、4、5人の男子は、同じく馬糞紙で、おサムライさんが腰に下げる、刀を作っている。持ち手の部分には、ちゃんとツバも付けてある。もちろんタカさんが采配を振るっているのだ。果たして、劇の台本は出来上がっており、劇の執筆者の指示に従って、小道具、背景の大道具の製作が進んでいた。
しかし、道具作りに凝り過ぎて、リハーサルの時間がなくなっている。たいていの場合、凝り性のタカさんが仕切ると、こういう事になる。僕に、そんなことを言われる筋合いは無いだろうが…
所詮、台本作りを途中退場した身だ。
結局、ほとんどぶっつけ本番で、お楽しみ会の4年生の劇は、全校生徒の見守る中、始まったのだった。

━━━━━━━━━━━━開演━━━━━━━━━━━━━
上手から2、3人の浪人か、刀を構えた格好で、後ろ向きに登場し、同じく浪人に囲まれたサムライが、刀に手を掛けたまま現れる。

「おのれ!残念又四郎」「ここで会ったが百年目」「父の仇!いざ尋常に勝負」

そう言って、浪人は上履きを、後方へ蹴り脱ぐ。
(履き物のつもり)

残念又四郎は、黙って3人の浪人を睨んだまま、動かない。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

文字どおり残念ながら、それから先は失念したが、約束どおり、台本を仕上げてきたタカさんには、びっくりしたものだ。しかも、土曜日の午後から、月曜日の朝までの間にである。

だけど、今でも彼が、講師を務める大学のホームページには、劇団を主宰するタカさんのプロフィールが、確かに記されている。


━━━━━おわり━━━━━
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