子供の仕事に、
風呂炊きあり。



昔の子供は働きものだったかもしれない、
毎日の風呂炊き。
犬の散歩。
生ゴミの穴掘り、夏の水やり草むしり。
家業の手伝いとしては葛布集め、
梱包荷作り、タグのスタンプ押し、
荷物待ち福通運転手とのキャッチボール。
少し大人になれば原反合わせ、
裁断、ばたん付け。
私はことあるごとに逃げ回っていて
あまり「てごー」したほうではないが、
兄は真面目にやっていたものだ。
しかし、一日の仕事で必ずやらなくてはいけないのが
風呂炊きだ。

現在のように蛇口をひねればお湯は出ないので、
毎日毎日お湯を沸かさなければいけないのだ、
その役を命じられるのが子供なわけだ。
火を子供が扱うなんて危なっかしいが、
他にやる人がいないのだ。
午後4-5時日が少し傾きかける頃、
鉄釜に水を張り、ほぼ8割方埋まったところで、
袋に詰まった布葛を、丁度鉄釜の真下にあたる位置、
そして野外に焚き口があり、
そのなかに布を押し込み火をつける。
時々日の加減を見ながら布を加えていく。
鼻をツンッとつく煙は炊き口から煙突へ、
煙突はすぐ煤でつまり、掃除を怠ると、
覿面に燃えが鈍る。
何度も追い炊きするのは大変なので、
かなり高温でお湯を準備し、
入るとき水で埋めるのが基本だ。